第12章 何を狂ったようにするのか

「ぬいぐるみが一体。うちのリビングのソファにある」

川西拓海の声が、電話越しに落ちてきた。

佑奈は一拍置き、確信が持てないまま聞き返す。

「ぬいぐるみ……ですか?」

「ああ。大事なんだ。俺、今病院から離れられなくて。悪いけど、君に頼むしかない」

佑奈は深く考える暇もなく住所と暗証番号を聞き、川西拓海の部屋へ急いだ。ソファの上のぬいぐるみを抱えて、そのまま病院へ向かう。

病室の前に着くと、まず目に入ったのは枕元の花束と、積み重ねられた数冊の本。

けれどベッドに横たわっていたのは子どもではなく、白髪の目立つ年配の女性だった。

佑奈は言葉を失って、その人を見つめた。

ぬいぐるみが...

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